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すこやかモーニング(岐阜ラジオ)

胃癌の予防(17回) 平成14年5月26日放送分

http://www.kenkou.gifu-net.jp/kenkou/medhia/020526/020526.htm


Q1

日本では”胃癌”で亡くなる方が少なくなったと聞いていますが、どうなのですか?

A1

たしかに、日本での胃癌の死亡率は年々、減少傾向にあって、最近20年間でほぼ半減しています。その理由としましては、胃癌自体の発生が大きく減少した分けではなくて、胃癌の早期診断、早期治療などによって、胃癌になっても、助かる方が増加したからだと考えられています。また、胃癌の死亡率が低下してきたのは事実ですが、全ての癌死亡に占める割合は現在でも胃癌が20%前後を占め、男性で2位、女性で1位と依然として最も多い癌であることは変わりません。


Q2

”胃癌”にもいろいろなタイプの癌があると聞きましたが教えていただけますか?

A2

胃癌の分類は様々なものがありますが、最も良く知られているのは癌進行の程度による早期胃癌と、進行胃癌の分類です。ご質問の趣旨はこのような進行度の違いではなく、同じような大きさの胃癌でも性質の異なるものがあるのではないか?ということだと思います。実際、胃癌を顕微鏡的に観察いたしますと、細胞の形、組織的な構造によって、通常見られるものだけでも5種類ほどに分類されます。それぞれに特徴はあるのですが、さらに、これらを分化型胃癌と未分化型胃癌の2つに大きく分けることが、よく行われます。分化型胃癌はお年寄りに多い癌で、周りを押し広げるように固まりを作って大きくなっていきます。癌細胞が血液にのって運ばれ、肝臓への転移が多くみられます。未分化型胃癌は若い女性にもみられる癌で、周りに水がしみ込むように、はっきりとした境界を持たず、大きくなっていきます。リンパ節への転移が多く、このタイプの最も進行したものがスキルスと呼ばれ恐れられています。それぞれ、治療法、予後などがこの組織型によって変わる場合があります。


Q3

どうして”胃癌”になるのでしょうか?

A3

胃癌の発生原因についてはまだわかっていません。しかし、アメリカに住む日系人での胃癌の発生頻度が、胃癌の多い日本人と少ないアメリカ人の中間あたりになることから、胃癌の発生が食生活をはじめとする生活環境と強く関係していると考えられています。色々な研究成果から、胃癌の発生と塩分の摂取量に関連のあることが明かとなっておりますし、たばこが胃癌を増やすことも事実のようです。また、最近では、ヘリコバクター・ピロリと呼ばれる細菌が胃の中に住み着いて、胃癌の原因の一つになっているのではないかと言われています。いずれにしても、これら様々な原因で胃粘膜細胞の遺伝子にたくさんの傷がついて胃癌が発生するわけです。


Q4

”胃癌”にならないためには、どのようなことに気をつければいいですか?

A4

現在、胃癌を完全に予防する方法はありませんが、過去の疫学的研究から胃癌の危険因子と防御因子が報告されています。危険因子の対策としまして、先にお話ししました塩分の取りすぎを控える事と、禁煙はとても重要です。そのほか、焦げた食品、カビの生えた食品も当然避けるべきです。疲労とストレスは癌ばかりではなく、病気全般に悪影響があります。防御因子ではやはり食事が最も重要です。胃癌の発生を抑制する食品には乳製品、緑黄色野菜、新鮮な果物などが挙げられます。緑茶やコーヒーが胃癌の発生を低下させる可能性も報告されています。


Q5

”胃癌”になるとどんな症状がでますか?

A5

最も多いのが腹痛で、みぞおちあたりの痛みです。そのほか、胃の部分の膨満感・不快感、食欲不振、吐き気など、様々なものがあります。しかし、いずれも胃癌に特有の症状ではなく、胃潰瘍や他の消化器の病気でも起こることがあります。また、早期の胃癌では症状に乏しく、約半数の患者で全く症状を認めないと言われており、症状だけによる胃癌の診断は実際には不可能です。


Q6

早いうちに”胃癌”を発見する方法を教えてください。

A6

胃の検査方法には通常、胃X線造影検査と胃内視鏡検査が行われますが、どちらもある程度の苦痛を伴いますので、あまりやりたくはない検査だと思います。しかし、胃癌には特有な症状がなく、無症状の場合もありますので、症状にとらわれず、1年に一度は胃の検査を受けられることが重要です。症状のない場合は、胃の集団検診、人間ドックなどを受け、症状がある場合には、症状の種類、程度に関わらず、医師の診察を受けることをお勧めします。


Q7

最後にもう一度、”胃癌”にならないための注意事項と手遅れにならないうちに発見する方法をまとめていただけますか?

A7

食生活に気をつけてください。塩分を控えることは最も重要で、緑黄色野菜、新鮮な果物、乳製品を多く取るよう心がけてください。タバコを吸われる方は禁煙する必要があります。このような予防に努めることは大事ですが、安心してしまって手遅れにならないため、症状に捕らわれず、定期的な胃の検査を受けることが大切です。多少辛いですが、胃癌の早期診断では内視鏡検査に優る方法はありません。




大腸癌の予防(第20回) 平成14年8月25日放送分

http://www.kenkou.gifu-net.jp/kenkou/medhia/020825/020825.htm


Q1

大腸癌はどのような病気ですか?

A1

大腸は消化管の一部で、口から入った食物が胃、小腸で消化吸収されたのち、残りの腸内容物の水分を吸収しながら便にするのが主な役割です。大腸の粘膜のある所ではどこからでも癌ができますが、癌の発生は正常の粘膜から直接発生する場合と、ポリープが癌化する場合があることが分かっています。大腸癌の出来る頻度が高い部位は、肛門ちかくの直腸とS状結腸で、全体の75%を占めます。


Q2

昔は欧米人に多かった大腸癌が、近年、日本人にもかかる人が増えてきたと言われていますが本当ですか?

A2

以前から、大腸癌は欧米人に多く、日本人には少ない病気でしたが、近年の日本人の食生活の西洋化に伴い急速に増えてきています。現在、日本での大腸癌死亡率は、男性で、肺癌、胃癌、肝臓癌に次いで4位、女性で、胃癌に次いで2位となっていますが、近い将来、男性で3位、女性で1位とランクアップする事が推定されています。


Q3

どのような人が大腸癌になりやすいのですか?

A3

癌の発生要因には、遺伝的因子と環境的因子がありますが、大腸癌の発生には遺伝的因子より、環境的因子の比重が大きいと考えられています。大腸癌にかかりやすい遺伝的因子として、大腸ポリープになったことがある、家族の中に大腸癌にかかった人がいる、また、希な疾患ですが、遺伝性に大腸に無数のポリープができてしまう家族性大腸ポリポーシスなどが挙げられています。環境的因子としてはやはり食生活の影響が大きく、肉食家で脂肪摂取が多く、繊維質の少ない食事をしている人が要注意ですが、運動不足や肥満の人も気をつける必要があります。そのほか、大腸の粘膜に炎症を起こす疾患である潰瘍性大腸炎に長い間かかっていいる人や、治りにくい痔瘻をもっている人も大腸癌になりやすいと言われています。


Q4

大腸癌の症状はどういったことがありますか?

A4

一般的に、大腸癌の初期に症状はありません。進行してくると血便、便通異常、腹痛など様々な症状が出現してきますが、大腸は長い臓器なので癌のできる部位により症状が異なります。盲腸や上行結腸などの肛門から離れたところでは、血便を見ることは少なく、貧血が出たり、お腹の張る感じや痛みを伴うしこりがでて、はじめて気づくこともあります。おなかの左側の肛門に近い部分では、血便、腹痛のほか、便が細くなる、残便感、下痢と便秘を繰り返すなど排便に関する症状が多く認められます。この中で、血便は大腸癌の診断のため最も重要な症状ですが、血便としての頻度が高い痔と勘違いし易く、特に以前から痔の悪い人はその傾向が強いので注意が必要です。


Q5

食物繊維が大腸癌を予防すると言われていますが?

A5

過去の疫学的研究から、食物繊維の摂取量と大腸癌の発生率とが密接に関連し、摂取量の多い人々の間では、大腸癌の発生が少ないことが知られています。その理由として、食物繊維は、便の量を増やし、腸内の発癌物質の濃度を薄めたり、便秘を改善して、発癌物質が大腸粘膜と接触する時間を短くしたりする事に加え、食物繊維そのものが腸内細菌に変化を起こさせ、発癌物質の産生を抑えたりする働きがあるからと推定されています。しかし、本当に食物繊維で大腸癌を予防できるか否かは、現時点では十分な確証は得られていません。最近、アメリカで行われた大規模な調査では、食物繊維摂取量と大腸癌やポリープの発生との間には明らかな関連は認められなかったと報告されています。少なくとも、短期的には食物繊維で大腸癌の発生を抑える効果は得られないようです。長期的な効果については今後の研究成果を待たなくてはなりません。


Q6

その他に大腸癌を予防する方法があれば教えてください。

A6

大腸癌を予防するには、動物性脂肪やタンパク質をとりすぎないことが、最も重要とされています。特に、動物性脂肪のとりすぎが、大腸癌発生のリスクを上げることは確実なようです。脂肪が多いと、食物繊維を多くとっても、大腸癌の予防効果は期待できないとの報告もされています。お酒は大腸癌のうち、特に、S状結腸癌のリスクを大きく上げるとの報告も認めます。お酒の種類ではビールとの関連が強いと言われていますので、飲み過ぎにも注意しましょう。また、最近、定期的に運動を行うことで大腸癌を予防することがわかってきました。その他、緑茶、ベータカロチン、アスピリンなどの予防効果も報告されていますが、まだ確立された見解には至っていません。大腸癌の発生自体を抑える事とは若干異なりますが、検診などで大腸ポリープが見つかったら、早めに切除しておきましょう。大腸ポリープのほとんどは腺腫といわれる良性の病気で、内視鏡検査を行うとしばしば見つかるありふれた疾患ですが、全体の数%程度が癌化する場合があるとされています。早めのポリープ切除が、最も大きな大腸癌の予防に繋がると主張する先生もみえます。最後に、大腸癌にならないよう食生活の工夫や生活改善などによる一次予防を行うと同時に、大腸癌は比較的治療しやすい癌なので、出来てしまった癌の早期発見のため、検診などを積極的に受けられることがとても重要である事を付け加えておきます。


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